今回の問題点は相手製品との干渉により、従来使っていた組み付け部品が使えなくなり別の部品が使えるように製品に開いている角穴を修正するプレス金型を製作することです。
今回の問題点は
- 製品が出来上がっているので修正加工しにくい事。
- 修正加工する製品の角穴中心位置が12種類あること。
- 古いプレス金型で製作してあるため、製品図はあるが製品角穴位置が図面どおりの位置に開いていない。
- 板厚3ミリのところニゲとして角穴付近を1.7ミリほど圧縮加工しなければならない。これによる穴径変化はプラス0.2ミリまで可なのですが、製品全体としての形の変化は認められない。(製品がゆがむ、角度が変わるなど。)
具体的な金型製作方法
- 位置決めは、すでに開いている角穴から位置をひろい角穴中心を出して加工することとしました。(こうすれば12種類全ての製品で共用できます。)
- 板厚を3ミリから1.7ミリほど圧縮するには押しつぶせばよいのですが、完成品を再加工するため金型と製品が干渉する部分を逃がさなければなりません。そうすると金型強度が弱くなるという問題が出てきます。そこで角穴に合わせた形で圧縮するのではなく、必要最小限の形での圧縮を客先より承認していただきました。そうすることで金型への圧縮負荷が弱まり強度も確保できます。
- 板厚を3ミリから1.7ミリほど圧縮するので、その圧縮された分、製品が変形しようとします。そこで変形防止用のプレートを上金型に取り付けました。
このような構想のもと金型を設計製作し無事客先の要求を満たしました。
今後このような問題を回避するためには
今回の件は稀ではありますが発生する案件です。特に長寿製品ではコストダウンの為、相手が組み合わせ部品を買えることは良くある事であります。図面上では干渉しなくても、実際組み合わせると不都合が生じる製品も現実にはあります。普段から相手担当者の話を聞いて情報を得たりするのも手かと思われます。一番良いのはこちらから先手を打って、新製品を提案するのが良いと思います。
古い製品は実績を持っているのも事実ですが、周りの組み合わせ部品が新しくなってくるので、いずれそれらに合わせて改造しなければなりません。当然改造費用が発生します。それならば、こちらからの提案で自分たちに有利な製造方法、価格、納期を提示できれば客先も考えます。早めに手を打てば製品の納期遅れは回避できるはずです。一考に値するのではないでしょうか。