プレス金型のダイスが壊れてしまいました
今回の案件は、幅66、長さ110の材料を幅60、長さ30の大きさで片側づつカットするプレス金型の修理案件です。プレス金型の下型にヒビが入ってしまい壊れてしまいました。加工材質は鉄1ミリ、加工数は不明です。
壊れた原因は
①多数加工してもバリが出なかったのでそのまま加工していたら、プレス金型にヒビが入って根元から折れた。この場合はバリが出ないとしても切れ味が悪くなっているのでプレス加工時の衝撃が大きく、その繰り返しで根元からヒビが入るというのが原因です。
②プレス金型ダイスのカット部の下に受けが無く、多数加工している間にダイス部に上下の繰り返し曲げ運動が行われ根元から折れるという原因もあります。
対策は
①については加工数量を決めて定期的なケンマをすることで、加工時の衝撃が大きくなるのを防ぐことが出来ます。
②については、加工クズが取り出しにくくなるのですが、プレス金型の下型の先端部分にスクリュウージャッキなどをライナーの代わりに入れておくと上下の繰り返し曲げを防げますので、このような対策をしてプレス加工することを薦めます。
今回の案件のプレス金型が壊れた原因は
持ち込んだプレス屋さんの話によると、金型の段取りが替えでプレス金型交換中にプレス上金型とプレス下金型をぶつけてしまったそうです。このプレス金型はプレス上型とプレス下型の位置を合わせるのにニゲ止め(専門用語でヒールガイドといいます)で合わせるような作りになっていて、その合わせ方が悪くて、プレス上型でプレス下型を押してしまい、壊してしまったとの事でした。しかも、運悪く使用したプレスがピンクラッチ式のプレスなのであっという間にぶつけてしまったそうです。プレス機は出来ればエアークラッチ式のプレスを使用したほうが金型の交換及びプレス作業が安全かつ早く出来ますので、なるべくエアークラッチ式のプレス機を使ってください。プレス金型に関しては、プレス上型、プレス下型のプレス機への取り付けには、MGガイドの付いた金型で行うことをお勧めします。最低でも、ヒールガイドで合わせて取り付けるのではなくストリッパーガイドピンなどで合わせる方式のものを使ってください。格段に金型交換作業が早く、楽になります。